戯曲:Moot Rite(集会の儀式) Werewolf ロゴ

ケルン儀式(レベル1)

原案・脚本 Matt Ragan

翻訳 Professor

このテキストはMatt Ragan氏の承諾を得て氏のホームページより翻訳・転載したものです。

  1. 開会―道化問答
  2. 五つの風の召喚
  3. 裁きの場
  4. 物語と歌
  5. 挑戦と狼夜行
  6. 閉会―霊力を捧げる



登場人物
遠吠えの長 ガリアルドから選ばれる。儀式の司祭。最低限この役目を務めるガルゥだけはMoot Rite(集会の儀式→第2版ルールブックp.140)を修得しておく必要がある。
道化 ラガバッシュから選ばれる。ガルゥの伝統に楯突き、氏族の強さと決意を試す。
ワイルドの召喚者 シーアージ。五つの方角の風とケルンのトーテム精霊を召喚する。
東の風 アンブラの風を召喚する。
南の風 業怒の風を召喚する。伝統的にアーローンが務める。
西の風 変化の風を召喚する。
北の風 〈聖なる道〉の風を召喚する。
真実を捕らえる者 フィロドクス。氏族内の争いを調停する。
語り部 ガリアルド。名声の授与と剥奪のあいだ司会役を務める。
ワーム殺し アーローン。〈狼夜行〉を率いる。常に集会が始まってから選ばれる。
Notes 世紀末の現代、ガルゥの数は極めて少ない。正式な儀式を行えるだけのガルゥがいない場合、誰かが複数の役を兼任することになる。遠吠えの長は語り部を兼任できるし、ワイルドの召喚者が全ての風を一人で召喚してもよい。もし適切な宿月の者がいなければ、次善の策として近しい性格を持つ部族の者が穴埋めする。道化ならボーン・ノーア、フィアナ、ゲット・オブ・フェンリス。遠吠えの長/語り部はフィアナやサイレント・ストライダー。ワームの召喚者はウクテナ、チルドレン・オブ・ガイア、ブラック・ヒューリー、ウェンディゴなど。真実を捕らえる者としてはスターゲイザー、シルバー・ファング、チルドレン・オブ・ガイア、ウェンディゴ。ワーム殺しの代役はゲット・オブ・フェンリス、シャドウ・ロード、レッド・タロンなどが務めることができる(氏族にアーローンが一人もいないというのはよほどの非常事態だろうが)。それでも足りない場合、遠吠えの長だけを選びそのガルゥが全ての役をこなすこともできる。
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第1幕 開会―道化問答

  [氏族はケルンの中心に参集する。遠吠えの長は可能な限りケルンの中心に近い場所に立つ。塚守(Caern Warder)を初め鎮守(Gurdian)たちは境内(Bawn)をパトロールしてワームの眷属の襲撃に備える。]
遠吠えの長 集え狼、誰も彼も、獣人の同胞よ、月下の踊り手たちよ、ここに集え! 我、汝を呼び、汝を招き、汝らを集わせる、今宵この輪を見届けんがため。
  [鎮守以外のガルゥは全員、一つの円をつくる]
遠吠えの長 この永遠に広がりゆく輪、そをムート(集会)と我らは呼ぶ。いざ聞け! 我が遠吠えを聞け!
  [遠吠えの長は遠吠えを始める。氏族全員が後に続く]
  [遠吠えの合唱。やがてその余韻も消える]
遠吠えの長 この終末の世に滅びゆく我らが狼の同胞を記憶に留めんがため、かれらに挽歌を捧げる。
  [遠吠えの長は哀調を帯びた遠吠えを始める。ルーパス全員が後に続き、残り全員がそれに続く]
遠吠えの長 炎が闇を遠ざけるがごとく、我らが古えの掟はワームの魔手を遠ざける。[道化の名前を呼ぶ]○○○よ、汝〈掟の歌〉を知るや?
道化 充分に、汝より良く。
遠吠えの長 ガルゥはガルゥとつがうべからず!
道化 ガルゥはガルゥとつがうべし!
遠吠えの長 [氏族の名を呼ぶ]○○の氏族よ、汝らは何と言う?
一同 ガルゥはガルゥとつがうべからず!
遠吠えの長 ワームと戦え、その棲まう所がある限り、その眷属がはびこる限り!
道化 ワームより逃げよ、その棲まう所がある限り、その眷属がはびこる限り!
遠吠えの長 ○○の氏族よ、汝らは何と言う?
一同 ワームから逃げるな、その棲まう所がある限り、その眷属がはびこる限り!
遠吠えの長 他人のなわばりを尊重せよ!
道化 他人のなわばりを踏みにじれ!
遠吠えの長 ○○の氏族よ、汝らは何と言う?
一同 他人のなわばりを踏みにじるなかれ!
遠吠えの長 名誉ある降伏は受け入れよ!
道化 名誉ある降伏を拒め!
遠吠えの長 ○○の氏族よ、汝らは何と言う?
一同 名誉ある降伏を拒むなかれ!
遠吠えの長 目上の者には服従するべし!
道化 目上の者には逆らうべし!
遠吠えの長 ○○の氏族よ、汝らは何と言う?
一同 目上の者に逆らうべからず!
遠吠えの長 獲物の最初の分け前は最も位(くらい)高き者に譲るべし!
道化 獲物の最初の分け前を最も位高き者に譲るべからず!
遠吠えの長 ○○の氏族よ、汝らは何と言う?
一同 獲物の最初の分け前は最も位高き者に譲るべし!
遠吠えの長 汝、人間の肉を食らうなかれ!
道化 汝、人間の肉を食らうべし!
遠吠えの長 ○○の氏族よ、汝らは何と言う?
一同 汝、人間の肉を食らうべからず!
遠吠えの長 汝を支えるものを敬え――すべてはガイアのもの!
道化 汝を支えるものを蔑め――すべては汝のもの!
遠吠えの長 ○○の氏族よ、汝らは何と言う?
一同 汝を支えるものを蔑むな――すべてはガイアのもの!
遠吠えの長 〈ベール〉を開かせてはならぬ!
道化 〈ベール〉を開かせるべし!
遠吠えの長 ○○の氏族よ、汝らは何と言う?
一同 〈ベール〉を開かせるべからず!
遠吠えの長 汝、病める時に同胞の手を煩わすべからず!
道化 汝、病める時には同胞に頼るべし!
遠吠えの長 ○○の氏族よ、汝らは何と言う?
一同 汝、たとえ病もうとも同胞に頼るべからず!
遠吠えの長 長(おさ)たる者、平時には常に挑戦を受けて立つべし!
道化 長たる者、平時にはあくまで挑戦をこばめ!
遠吠えの長 ○○の氏族よ、汝らは何と言う?
一同 長たる者、平時に挑戦をこばむなかれ!
遠吠えの長 戦時には、長たる者に挑戦するべからず!
道化 戦時こそ、長たる者に挑戦すべし!
遠吠えの長 ○○の氏族よ、汝らは何と言う?
一同 長たる者への挑戦は、平時になすべし!
遠吠えの長 汝、ケルンを危うくする行いに及ぶなかれ!
道化 汝の行いでケルンが危うくなろうとも、かまうものか!
遠吠えの長 ○○の氏族よ、汝らは何と言う?
一同 汝の行いはすべて、ケルンを守るために!
道化 なるほどこの氏族はガイアの守護者に値するやもしれぬ。さてこの道化はもと来たところに帰るが、後にこの謎かけを残してゆく。
  [氏族に謎かけを告げる。暗に諷刺を込めたものになるのが普通]
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第2幕 五つの風の召喚

  [道化は参加者の輪に戻る。遠吠えの長は無言の身振りでワイルドの召喚者に合図し、ケルンの中央に進み出るよう促す]
  [ワイルドの召喚者はケルンの中央に立つ。四人の〈〜の風〉はワイルドの召喚者を中心に、それぞれ対応する方角を向いて無言で背中合わせに立つ]
ワイルドの召喚者 我らこのガイアの聖地に集い、ガイアの子たる同胞を召喚せり。いざルナの子たる同胞を召喚せん。
  [ワイルドの召喚者は東を向く]
東の風(または
ワイルドの召喚者)
東の風よ! 清冽なる朝の空気をもたらす者よ! 東の風よ! 我らに鏡の向こう、天鵞絨(びろうど)のとばりの彼方を示せし者よ、来たれ! 澄んだ思考と明るき光をもたらしたまえ!
  [東の風は参加者の輪に戻る。ワイルドの召喚者は南を向く]
南の風(または
ワイルドの召喚者)
南の風よ! 永遠の炎をもたらす者よ! 南の風よ! 我らに疾風の如く敵を打ち倒せしめんがため、内なる業怒の炎を授けし者よ、来たれ!燃える怒りと護りの力をもたらしたまえ!
  [南の風は参加者の輪に戻る。ワイルドの召喚者は西を向く]
西の風(または
ワイルドの召喚者)
西の風よ! 慈雨をもたらす者よ! 西の風よ! 我らに変身の術を授けし者よ、来たれ! 汝が分け与えし諸々の姿をもたらしたまえ!
  [西の風は参加者の輪に戻る。ワイルドの召喚者は北を向く]
北の風(または
ワイルドの召喚者)
北の風よ! 山より冷気をもたらす者よ! 北の風よ! 我らにギフトと〈聖なる道〉を授けし者よ、来たれ! 汝の偉大なる知恵と力をもたらしたまえ!
  [北の風は参加者の輪に戻る。ワイルドの召喚者は以下のどちらかの動作をする。
春か夏 − 両腕をまっすぐ頭上に掲げ、掌と顔を空に向ける。
秋か冬 − 両腕をまっすぐ降ろし、掌と顔を地面に向ける。]
ワイルドの召喚者 魂の風よ! 我らの内よりガイアの祝福をもたらす者よ! 魂の風よ! 我らの内に母なる女神の力を留まらしめる者よ、来たれ! 我らに霊の力と心の平安をもたらしたまえ!
  [ワイルドの召喚者はケルンの中央に向かって一歩踏みだし、ケルンのトーテム精霊を象徴する聖なる品を高く掲げる]
ワイルドの召喚者 おお[ケルンのトーテム精霊の名に何か敬称をつけて呼ぶ。例えば鹿の「主」、「偉大なる」隼、「猛き」フェンリスなど]よ! 汝にならい、このガイアの聖地を守らんと命にかけて誓いし我らのもとに来たれ! 来たりて汝の嘉(よみ)せし証、汝の祝福、汝の恩寵を示したまえ!
  [ここでSTは氏族がトーテム精霊の不興をかわなかったかどうか決めねばならない。何も起こらないのはトーテムの不興のしるしで恥ずべきこととされる。氏族のガルゥたちは何が原因で精霊の機嫌を損ねたのか自問することだろう。逆にトーテムが満足している場合、トーテム精霊が氏族のそばにいるという何らかの目に見える兆しが現れる。例えばトーテムが鹿なら威厳に満ちた牡鹿が姿を現すかもしれない。グリフィンなら全員に業怒ポイント1点を与えたり、ルーパス形態でない者を強制的にルーパスに変身させたりするだろう。フェンリスならクリノス形態への変身を強制するだろう。〈雷の父祖〉なら雷鳴や嵐を送るかもしれない]
ワイルドの召喚者 感謝する、我らが精霊の同胞よ!ガイアの祝福が汝ら全ての上にあらんことを!
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第3幕 裁きの場

  [遠吠えの長は一本の棒か骨を拾い上げてケルン中央に進み出る。ワイルドの召喚者は参加者の輪に戻る]
遠吠えの長 ではこれより骨を割り内なる真実の髄を見いださん!
  [全員が声を合わせて甲高い遠吠えをする。最後はとげとげしい感じの余韻で終わる]
遠吠えの長 [真実を捕らえる者の名を呼ぶ]○○○ よ、今宵我らが真実を捕らえるのを助けてくれまいか。
真実を捕らえる者 では誰か、骨をこれへ!
  [この幕をどのような形式で進行させるかは自由だが、以下の指針は守ること。
1−発言はランクの高い順におこなう。フォスターン(Fostern)が最後に発言する。カブ(Cub)は発言を許されない。
2−骨(または棒)を手渡された者だけが発言を許される。真実を捕らえる者以外はいっさい口出ししてはならない。このしきたりを破った者は誰であれ智恵(Wisdom)の名声を剥奪される可能性がある。 この場において、真実を捕らえる者は(ランクに関係なく)そうする権限を持つ。
3−真実を捕らえる者は裁判官にして陪審員、そして懲罰者でもある。論争が起こった場合、真実を捕らえる者の言葉が最終決定になる。これはランクに無関係である。たとえ真実を捕らえる者が誤った判断を下したり無能ぶりを示したりしても、それを罰するには次の集会で、別の真実を捕らえる者の裁きにかけるしかない。
4−骨を持っているのが真実を捕らえる者である場合、遠吠えの長が一時的に代役を務める。このとき起こった論争は最後に解決される。
5−この部分で名声を得ることはできないが、失うことは大いにあり得る。
6−シーアージは時折この場を利用して自分の見た夢や前兆を語ったり、精霊から氏族への託宣を告げることがある。また精霊たちに代わってガルゥへの苦情を述べる場合もある。]
  [骨が全員の手を巡りすべての懸案が解決したら(又は遠吠えの長が閉廷を宣言したら)、遠吠えの長は真実を捕らえる者から骨を取り上げて二つに折る]
遠吠えの長 事成れり!
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第4幕 物語と歌

遠吠えの長 これよりは昔語りの時間![語り部の名]よ、ひとつ我らに語ってくれまいか。
  [語り部はケルン中央に進み出て高い音程で遠吠えを始める。最後は低く喉を鳴らすような唸りで締めくくる]
  [語り部はなにか物語を一つする。一般的にはガルゥの英雄の伝説、〈銀の碑〉の一部、〈掟の歌〉にちなんだ寓話、古い叙事詩など。ガルゥはこうやって種族の歴史、文化、伝説、伝承を覚えるのである]
  [次に語り部が司祭となって〈達成の儀式〉を執り行う(語り部が修得していない場合は当然ながら別の者が務める)。対象となる者たちを輪の中央に呼び出し、彼らを讃える歌をうたう。詳しくは〈達成の儀式〉を参照。]
  [注意!! 参加者を退屈させないことは語り部の神聖な義務であり、ガリアルドとしての名声がかかっている! もし聴衆が退屈しはじめた場合、遠吠えの長は……
1) 語り部に中断させ、自分が話の後を引き継ぐ。
2) 語り部に中断させ、着席してもっと良い物語ができるようになったら戻ってくるようにと言う。
3) 語り部を腕ずくで輪の外につまみだす(その他、氏族がそれ以上退屈せずに済むことなら何でも。特にアーローンはこの対処を好む]
  [名声の授与が終わったら、語り部は〈諷刺の儀式〉など名声を剥奪する各種の儀式の対象者を呼び出し、彼らの不名誉をあげつらう歌をうたう。]
  [新入りのガルゥやパックはここで初めて氏族に紹介される]
  [語り部が無事役目をこなしたら、遠吠えの長が中央に進み出て親しみのこもった笑みと唸り声で語り部に輪に戻るよう促す]

第5幕 狼夜行

  [遠吠えの長は参加者の輪に沿ってのし歩き、アーローンを一人一人見つめる。ワーム殺しの候補者を一人選び、二人は視線を合わせ「にらみ合い」による勝負を行う]
  [ST注意! 何があっても、絶対に、プレイヤー間で本気のにらみ合いをさせてはならない。現実の「にらみ合い」は決着がつくまで非常に長時間かかる上、剣呑な雰囲気を作り出す以外何の役にも立たない。無駄な危険は冒さないに限る。
代案として2つの方法を挙げる。
1−遠吠えの長は心の中で50数えてから目をそらす。
2−知恵比べ(腕比べ)で勝負する。遠吠えの長は意志力ポイントを使うべきではないが、候補者は使ってもよい。名声、〈純血〉、ギフト、霊宝、霊符、部族特典は使ってもよいがあまり適切でないだろう]
  [遠吠えの長が目をそらすと、氏族は吠えたり唸ったり大いに騒ぎ立てる。ワーム殺しは一声長く吠えて全員を黙らせる]
ワーム殺し この中にランクを求め、年長者に勝負を挑む者はいるか!
  [ワーム殺しが〈挑戦の長〉を務め、勝負を見届ける。全ての挑戦者の勝負が終わったら、ワーム殺しは荒っぽい酒宴や各種の腕比べ、またはケルン周辺を練り歩いて伝統的な狩り〈狼夜行〉を行う。注意:ランクを賭けた勝負はべつに集会で行う必要はない。平時であればいつでも行うことができる。]
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第6幕 閉会

  [ワーム殺しは参加者を率いてケルンに戻り、最後にもう一度ケルンの中心を囲んで輪になる。〈狼夜行〉の興奮がさめやらぬ内に、遠吠えの長が進み出て〈集会の儀式〉を締めくくる]
遠吠えの長 さらば狼、誰も彼も、獣人の同胞よ、来るべき日の戦士たちよ、さらば! 我、汝を呼べり、汝を招けり、汝らを集わせり、今宵この輪に加わらせしめんがため。この絆の輪、そを〈集会〉と我らは呼ぶ。いざ聞け! 我が遠吠えを聞け!
  [遠吠えの長は遠吠えを始める。氏族全員が後に続く]
  [遠吠えの合唱。やがてその余韻も消える]
遠吠えの長 汝みずからを我らが聖なる母に還せ。汝みずからをガイアに捧げよ。
  [参加したガルゥは全員、両手を地面につけるか土に埋めて霊力を注ぎ込む。最低でも(ケルンのレベル×2)点の霊力ポイントを注がなければ、ケルンは不活性化してレベルが低下してしまう。こうして下がってしまったレベルを回復するには、遠吠えの長が霊力レーティングを捧げねばならない。1レベル犠牲にするごとにケルンレベルは1回復する。ただし、いくら霊力レーティングを捧げても、ケルンのレベルを創造時より高くすることはできない。霊力を注ぎ終わると、集会は正式に終了する。]
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