アヘン (Opium)
アジア産のケシの一種、Papaver Somniferumから精製される。暗褐色の固体か粉末。食べたり喫煙したりして摂取する。

短期作用
注射すると幸福感が押し寄せ、満たされた境地になって空腹、苦痛、性欲を忘れる。体は温かく、だるい感じで、口の渇きを覚える。経口摂取の場合、効果はもっと緩やかに現れる。副作用として不眠、胸のむかつき、嘔吐、痛覚鈍麻、瞳孔縮小、頻尿、便秘、発汗、肌のかゆみ、呼吸数低下を伴う場合がある。大量摂取した場合、瞳孔が針で突いたように小さくなる症状を呈する。肌は冷たく湿って蒼白く、呼吸はいまにも止まりそうなほど遅く、時には本当に止まって死んでしまう場合もある。アルコールと併用するのは非常に危険。

長期作用
慢性便秘、瞳孔縮小、不機嫌、月経不順。これらの症状は服用を中止すれば消える。常用者は阿片の煙を吸飲することで肺に障害をきたすことがある。注射器の回し射ちによってAIDSなどの感染症にかかるおそれも。膿瘍、蜂巣炎、肝障害、破傷風、脳障害などが起こる場合もある。女性の中毒患者の50%は妊娠中や出産時になんらかの不調をきたす。

耐性/依存性
耐性はかなり急速に形成されるため、効き具合を維持するために使用量はますます増えていく。非常に中毒性が高く、常用すれば肉体的依存が生じる。禁断症状は不安、不眠、多汗、痙攣、悪寒、ふるえなどで、服用中止後4〜5時間で起きる。急性の禁断症状は中止後36〜72時間でピークに達し、7〜10日間以内に終わる。常習者は禁断症状の苦痛を抑えるためにまた薬を使用して、結果としてますます中毒をひどくしてしまうことが多い。
アンフェタミン (Amphetamine) C6H5CH2CH(NH2)CH3
中枢神経興奮剤。普通硫塩酸の形で覚醒剤や食欲抑制剤として用いられる。中毒者がよく使用する市販薬にはベンゼドリンデキセドリンメセドリン等がある。

短期作用
注意力や意欲の増大、幸福感、心拍数や呼吸数の増加、血圧上昇、発汗、瞳孔散大、口の中が乾く感じ。服用者はよく喋り、落ち着きがなく、興奮した様子を見せる。また元気が出、有能になったような気がして、他者に攻撃的な態度をとる。また、奇妙なことを何度もしつこく繰り返すことがある。非常に大量に摂取した場合、顔面紅潮または蒼白、脈拍の極度の増加、不整脈、震え、深刻な妄想、恐ろしい幻覚などが起きる。脳内血管破裂、心不全、高熱などを起こして死に至る場合もある。

長期作用
大量常用者は栄養失調、アンフェタミン精神病(妄想性精神分裂病に似た精神障害)をおこしたり、性格が暴力的になったりする。滅菌していない注射針の使用によるHIVその他の感染症が常習者の間に拡がっている。また、注射された薬物中の不純物が毛細血管を塞いだり、もろくしたりする結果、腎臓障害、肺障害、脳卒中などの組織損傷が起きることがある。またアンフェタミンを使用した母親から生まれた新生児が禁断症状を呈した例が報告されている。

耐性/依存性
非常に強力な精神的依存性があり、連用を中止するのは非常に困難。禁断症状としては、疲れやすい、長く眠るが熟睡できない、異常な空腹を覚える、怒りっぽくなる、暴力的になるなど。
MDMA (3,4-methylenedioxymethylamphetamine)
3,4-メチレンジオキシメチルアンフェタミン。俗称、エクスタシー、XTC。白色粉末で売っていることが多い。75〜100mgを経口摂取するのが一般的。ストリートでは類似の化合物MMDAが混同されてエクスタシーとして売られていた。

短期作用
幸福感、皮膚感覚が敏感になる、感情の増幅、瞳孔散大、血圧上昇、鼻や喉の粘膜の乾燥。大量摂取した場合の症状はLSDに似ている。過剰摂取は死を招くことがある。

耐性/依存性
現在判っている限りでは、肉体的耐性や依存性は生じないようである。常用者は精神的依存をおこす可能性がある。
LSD (Lysergic Acid Diethylamid) C15H15N2CON(C2H2)2
リゼルギン酸ジエチルアミド。60年代アメリカで起きたフラワー・ムーブメントによって『精神の解放、自我の発見』に役立つと言うことから、ロックミュージシャンや芸術家、知識階級に広まった。幻覚作用が個人によって著しく異なり、このために死に至る数々の悲劇を生んできている。

外見
ストリートでは、吸い取り紙やオブラートに染み込ませてドロップを包んで売っていたりする。錠剤、カプセル、液体、角砂糖、四角いゼラチンなどに簡単に形を変えられるほか、切手、チューインガム、固い砂糖菓子、ソーダ・クラッカーなどに吸着させることもできる。一般的な用量は50-100マイクログラム。(だからこのコーヒーの500マイクログラムといえば、常人なら半日は飛びっぱなし……)

短期作用
効果は1時間以内に感じられ、2〜12時間持続する。知覚が増強され、色はより鮮やかに、物はよりくっきりと、時には歪んで見えたりする。時間や距離の感覚が変化する場合もある。自分の体が軽くなったり、重くなったり、ぐにゃりと歪んだりするように感じられることもある。ものを考えたり注意を集中するのは難しく、短期記憶力が低下する。喜怒哀楽が極端に激しく変化する。過剰摂取による死亡例は知られていないが、この薬物が引き起こす錯乱が原因の事故死は起きている。

長期作用
意欲や関心の減退、長期にわたる抑鬱や不安。服用中の幻覚が、数日、数週間、ときには数ヶ月もたって突然再現する「フラッシュバック現象」。妊娠中に使用すると自然流産や致命的な胎児奇形の発生率が高くなる可能性がある。

耐性/依存性
いったん服用したら、数日は間をおかないと効くようにならない。この耐性はメスカリンサイロシビンDMTに対しても及ぶ。常用すると精神的依存を生じる。肉体的依存性はない。
STP(DOM)
2, 5-ジメトキシ-4-メチルアンフェタミン。白色粉末の形で売られている。経口、スニフ、注射で摂取。用量は3〜10mgが普通。

短期作用
効果は16〜24時間持続する。脱力感、錯乱、興奮、口内の乾燥、悪心、目のかすみ、発汗、のぼせ、震え。

耐性/依存性
現在判明している限りでは、常習者には耐性が生じるようである。精神的依存に陥るおそれはあるが、肉体的依存は生じるかどうか不明。
サイロシビン (Psilocybin)  C12H17N2O4P
俗称マジック・マッシュルーム。キノコのままか、乾燥粉末(色は様々)をカプセルに詰めた形で密売されている。1回の服用量は5〜60mg、経口摂取。「サイロシビン」と称して売られているものはたいていPCPかLSDである。

短期作用
摂取後、約30分で効果が現れはじめ、数時間持続する。体の力が抜けてぐったりした感覚をおぼえ、周囲から切り離されてふわふわ漂っているような気持になる。感覚が次第に低下し、万華鏡のような虹色の模様が視界をよぎるのを経験する。大量摂取は知覚の歪み、眩暈、胃のむかつき、口の周りが痺れたような感じ、嘔吐、体の震え、あくび、顔面紅潮、発汗などの症状を引き起こす。

耐性/依存性
いったん服用したら、数日は間をおかないと効くようにならない。この耐性はメスカリンLSDDMTに対しても及ぶ。常用すると精神的依存を生じる。肉体的依存性は現在のところ知られていない。
セコナール (Seconal) C12H18N2O3
セコバルビタール。50mgか100mgのオレンジ色のカプセル。俗称レッド、レッドバード、レッド・デビル。

短期作用
中枢神経の活動を抑制する。アルコールと作用が類似しており、少量なら不安や緊張を解きほぐして穏やかなリラックスした状態を作る。大量に摂取すると、よろめき、目のかすみ、思考混濁、ろれつが回らない、見当識喪失、呼吸が遅くなる、反応がゾンビのように鈍い、などの症状が起きる。過剰摂取は意識不明、昏睡、死亡につながる。アルコールや鎮痛剤と併用するのは非常に危険。

長期作用
貧血、肝機能障害、記憶力低下、注意力散漫。情緒不安定、悪心、不安、神経過敏。不随意な目の動きを示し、ヨロヨロした足取りとなり、発音は不明瞭、手足の震えがおさまらなくなる。ついには強迫観念や被害妄想が生じ、凶暴性を示すこともある。

耐性/依存性
長期間連用すると耐性が生じ、同じ効果を得るためには服用量を増やさなければならないようになる。副作用に対する耐性は、本来の作用に対する耐性よりもつきにくいので、有効量と致死量の幅が徐々にせばまっていく。禁断症状としては焦燥感、不安、不眠、譫妄、痙攣、ときには死亡することもある。
ソラジン (Chlorpromazine) C17H19ClN2O4S
クロールプロマジンの商品名。精神安定剤として、精神分裂病患者の鎮静に使われる。
DMT (DiMethilTryptamine)
ジメチルトリプタミン。LSDに似た効果の幻覚剤だが、持続時間は1〜4時間と短い。通常は、パセリをDMT溶液に浸して乾燥させたものを喫煙して服用する。1回の用量は75-100mgぐらい。耐性ができやすい。
THC (Tetrahydrocannabinol) C21H30O2
テトラヒドロカンナビノール。マリファナの活性成分。純粋な合成THCがストリートで売っていることは滅多にない。THCと称して密売されている物は、ほとんどといっていいほどPCPLSDである。

短期作用
作用はマリファナ喫煙後数分で現れ2〜4時間続く。穏やかな、リラックスした気分になり、よく喋る。五感が増幅されたような気分になり、辺りが急に色鮮やかに見えたり、音がはっきりと聞こえてきたりする。食欲が増大し、特に甘い物が食べたくなる。人によっては不安、憂鬱を訴えたり、まれにパニックや妄想が生じる場合もある。注意力散漫になるため、服用後の自動車運転は危険であり、特にアルコールと併用した場合には絶対に避けなければならない。

長期作用
長期に渡る大量の連用は、活動意欲や周囲への関心の減退、記憶力の低下、注意力散漫を招く可能性がある。こうした症状は連用を中止すれば軽快することが多い。また、マリファナ1本には普通の紙巻き煙草1本よりはるかに多量のタールが含まれているため、呼吸器系へも害を及ぼす。また妊娠中のマリファナ使用は胎児の正常な発育を阻害するという研究結果がある。

耐性/依存性
乱用や長期の連用は、精神的・肉体的依存をもたらす場合がある。禁断症状は不安、神経過敏、睡眠障害、発汗、食欲減退など。
デキセドリン (Dexedrine)
覚醒剤の一種、デキストロアンフェタミン製剤の商品名。茶色と無色のカプセルと、オレンジ色のハート型錠剤(俗称デックス)がある。
ネンブタール (Nembutal) 
睡眠薬の一種、ペントバルビタールナトリウムの商品名。100mg入りの黄色のカプセルから「イエロー・ジャケット」の俗称があるが、注射用の溶液としても入手できる。

短期作用
中枢神経の活動を抑制する。アルコールと作用が類似しており、少量なら不安や緊張を解きほぐして穏やかなリラックスした状態を作る。大量に摂取すると、よろめき、目のかすみ、思考混濁、ろれつが回らない、見当識喪失、呼吸が遅くなる、反応がゾンビのように鈍い、などの症状が起きる。過剰摂取は意識不明、昏睡、死亡につながる。アルコールや鎮痛剤と併用するのは非常に危険。

長期作用
貧血、肝機能障害、記憶力低下、注意力散漫。情緒不安定、悪心、不安、神経過敏。不随意な目の動きを示し、ヨロヨロした足取りとなり、発音は不明瞭、手足の震えがおさまらなくなる。ついには強迫観念や被害妄想が生じ、凶暴性を示すこともある。

耐性/依存性
長期間連用すると耐性が生じ、同じ効果を得るためには服用量を増やさなければならないようになる。副作用に対する耐性は、本来の作用に対する耐性よりもつきにくいので、有効量と致死量の幅が徐々にせばまっていく。禁断症状としては焦燥感、不安、不眠、譫妄、痙攣、ときには死亡することもある。
PCP (Phencyclidine) C17H25N
フェンシクリジン、俗称エンジェルダスト。かつては大型動物の麻酔剤・鎮静剤として使われていた。様々な色の粉末、結晶、液体、錠剤、カプセル、ペーストの形で売られている。しばしばLSDTHCメスカリンなど他のドラッグと偽って売られることもある。内容量は1.3〜81mgと幅があるが、「ハイ」になるには1〜5mgで充分である。鼻から吸いこんだり、喫煙したり、嚥下したり、注射したりする。

短期作用
効果は3〜18時間続く。幸福な陶酔感、隔絶感、幻覚を生じ、注意を集中したり会話をすることに困難を感じる。ときに強度の錯乱、妄想、恐怖、攻撃性、無力感を生じることもある。PCPは他のドラッグに比べてバッド・トリップしやすいことで悪名高い。過剰摂取は痙攣、昏睡、死をまねく。また、摂取による意識混濁が死亡事故につながることもある。

長期作用
フラッシュバック現象。言語障害、抑鬱、不安、あるいはもっと深刻な精神障害を残すおそれがある。

耐性/依存性
常用すると耐性を生じる。常習者は精神的依存に陥る恐れがある。肉体的依存性はない。
ベンゼドリン (Benzedrine)
俗称ベニー。スミス=クライン=フレンチ社製のアンフェタミンの商品名。覚醒剤の一種。
メスカリン (Mescaline)
トリメトキシフェネチルアミン。サボテンの一種「ペヨーテ(ウバタマ)」から抽出される幻覚性アルカロイド。ペヨーテから抽出されたものは、味も外観もまるで茶色い土のようで苦い。合成の硫酸メスカリンは白色、針状結晶だが味はほぼ同様。ただし末端で密売されている合成メスカリンの90%は偽物で、PCPLSDなどを偽って売っている。 カプセル、錠剤、粉末などもあるが、乾燥してボタン状のペヨーテ・サボテンをそのまま口に含み、柔らかくなるのを待ってから、咀嚼しながら、或いはそのままで、嚥下して摂取することが多い。

短期作用
効果はゆるやかに現れ、10-18時間持続する。知覚や感情の脈絡ない変化。失見当識。短期記憶や注意力の低下。瞳孔散大。発熱、悪心、嘔吐が起きることもある。多量摂取は頭痛、皮膚の乾燥、血圧および脈拍の低下、呼吸減少をひきおこす。

耐性/依存性
服用後、数日は摂取をやめないと再び効くようにならない。この耐性はサイロシビンLSDDMTにも及ぶ。連用は精神的依存をもたらす可能性があるが、肉体的依存性は現在のところ知られていない。

その他
メスカリンはメスカレロ・アパッチ(インディアン)が儀式の際に用いていたもので、今ではアメリカン・チャーチに属する土着民のみ使用が許されている。 日本ではメスカリンも「麻薬」に指定されている。
メセドリン (Methedrine)
覚醒剤。バローズ=ウェルム社製のメタンフェタミン剤の商品名。 白色の結晶性粉末。俗称メス、スピード。
メタンフェタミン (Methampheamine) C10H15N
中枢神経興奮剤。アンフェタミン同様、覚醒剤や食欲抑制剤としてかつては精神病や肥満治療に使われていた。日本では「ヒロポン」という商品名で疲労回復薬として出回ったことが有名である。依存性や中毒症状はアンフェタミンの項を参照。