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ノドの書 ― 群影記 4. カインの賜物について |
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汝、心せよ、もし定命の人間が、
カインの末裔に授けられた力をもって事を為すとき、
まさしくその定命の人間は
力を授けたカインの胤子がみずから為したかのように
事を成すであろう。
しかしその罪の贖いと責めは
件の血族が負うことになる。
あたかもその血族みずからが事を為したかのように。
なぜならこの場合には、
血族は人間に対して借りをつくることになるからである。
そしてセツの一族は、闇のまれびとの手が操る
ただの剣となってはならないからである。
心して聞け。三度の血杯、〈血の呪縛〉は
セツの末裔で技量優れたる者どもを
招いてカインの末裔に仕えさせるだろう。
あたかも我らが〈知恵〉の初穂であるが如く、
ゆえに仕えるべき者であるが如くに。
また、心せよ、およそ〈血の呪縛〉のうち
カインがその胤子にかけたものほど
強力なものはないと知れ。
しかし、我を通して全ての鎖は断ち切られ、
全ての枷は砕かれる。
〈天上の主〉の子供たち、
智天使、熾天使、大天使らに心せよ。
触れただけで汝は灼かれるであろう、
ミカエルの炎に触れたが如く。
〈地下の主〉の子供たち、
蛇の眷属にも心せよ。
触れただけで灼かれるばかりか、
彼らの舌で欺き、惑わされるだろうから。
必要とあらば、野の獣に汝の血を飲ませ、従僕にすることもできる。
汝の血を飲んだ獣は、力強く、忠実になるだろう。
しかし内なる〈獣〉を持つ獣には心せよ。
飽くことを知らぬ〈渇き〉に施してはならぬ。
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