訳者まえがき
狂気をロールプレイするのは厄介だ。やりすぎると他のプレイヤーがひいてしまうし、控えめすぎると何をやっているのか判らない。しかし、しりごみしていてはいつまでたってもマルカヴィアン氏族をプレイすることは不可能だ。
そこで登場するのがこのテキストである。狂気といっても殺人狂や完全にイッてしまったのはイヤというプレイヤーは、これを読んで「笑って済まされる」程度の狂気を見極めよう。
- 昼食時間に、サングラスをかけて駐車場に停めた自分の車の中に座り、通りかかった車にヘアドライヤーを向ける。その運転手が速度を落とすかどうか観察しよう。
- インターホンで自分を呼び出す。声を作ってはだめだ。
- 自分の電子メールアドレスは「Elvis-the-King@(自分の会社名).com」だと言い張る。
- 人に何か頼まれたら、「御一緒にポテトはいかがですか?」と尋ねる。
- 同僚たちを「一緒にシンクロナイズド・チェア・ダンシングをやってみないか? ちょっとだけでいいから」と誘う。
- ゴミ箱を自分の机の上に置いて『入ってます』と書いたラベルを貼る。
- ホチキス恐怖症になる。
- 3週間、コーヒーメーカーにカフェインレスコーヒーを入れておく。全員がカフェイン中毒を克服したら、エスプレッソに切り替えよう。
- 小切手を切るときメモ欄に必ず「一夜の御礼として」と書く。
- 誰に何を言われても「あなたはそう思うんですね」と答える。
- あらゆる発言を「…、予言によると」と言ってしめくくる。
- 自分のパソコンのモニタの明度を調節して、そのモニタが仕事場全体を照らすほど明るくする。周囲には、自分はこのくらい明るいのが好きなんだと主張する。
- 句読点をまったく使わない
- できるだけ、歩くときはスキップする。
- 人に「あなたの性別は?」と質問し、答えを聞いたらヒステリックに声を立てて笑う。
- ドライブスルーで注文を聞かれたら、「ここを出ること」と答える。
- オペラに合わせて歌う。
- 詩の朗読会に行き、「なんでどの詩も韻を踏んでいないんですか?」と尋ねる。
- 上司が服を買うところを見つけて、まったく同じ服を買い揃える。上司が着た服と同じものを次の日に着て出社する(これは上司が異性の場合とくに効果的だ)。
- 電子メールで社員みんなに、いま自分が何をしているか実況中継する。例えば、「僕に用があるなら、トイレの3番目の個室に入ってます」など。
- 職場で自分のパーティションの周囲に蚊帳を吊る。一日中、ジャングルの音をテープで流し続ける。
- 友人がパーティを開く5日前に、いま気分がのらないから出席しないと断る。
- 911番に電話をかけて「911って緊急電話番号ですよね?」と聞く。
- 心理電話相談に電話をかけて、何も言わない。
- 同僚にこれから自分のことはリングネームで「ロック・ハード」と呼んでくれと言う。
- 銀行のATMからお金が出てくるとき、「勝った、勝ったぞ! 今週3度目だ!」と叫ぶ。
- 動物園を出るとき、駐車場に向かって走り出しながら、「命が惜しかったら逃げろ! やつらが檻から逃げたぞ!」とわめく。
- 上司に「困ってるのは、僕の頭の中で声がするせいじゃないんです。あなたの頭の中の声がうるさくて、もう」と言う。
- 夕食の時、子供たちに「家計が苦しいから、あなたたちの一人を手放そうと思うの」と言う。
- ほうきを見るたびに「ぼうや、私がお母さんよ!」と叫ぶ。